「天衣無縫(てんいむほう)」は「飾り気が無く、無邪気でわざとらしさが無い」ないという意味で使われます。
詩や文章に対して技巧にわざとらしさが無く、自然で完璧という賞賛の意味でも使われる言葉です。
出典は「霊怪録」。中国の唐時代に牛僑という人が編纂した怪異小説集です。
この書物には天女がつつましい暮らしをしている男に惚れて降臨してくる話があります。
「私は天上で機織をしていますが、夫と別れてずいぶん経ちました。寂しく気分もふさぎこんでしまい、天の帝の許可をもらって、下界で静養しておりました。そこであなたの暮らしぶりがとても慎ましやかで、好きになってしまいました。どうか結ばれてくれませんか?」 以降天女は毎夜たずねてくるようになった。天女の衣をふと見ると、まったく縫い目がなかった。不思議に思ってたずねると 「天上で着る衣は針や糸を使って縫い合わせるものではないのですよ」と答えた。
天女の服は針も糸も使わずに作られているという事なのです。
天女は一般的に清い存在ですから、その印象もあり、「天衣無縫」が「飾り気が無く、無邪気でわざとらしさが無い」という意味になりました。
天女に結婚を迫られるのはうらやましいような、うらやましくないような…。
どんな暮らしをしていたら天女からアタックされるんですかね?