空のおっぱい&空の暴れん坊
積乱雲の乳房雲(にゅうぼううんorちぶさぐも)と、前線に現れる積乱雲のアーチ雲のダブルパンチです。
雲には十種雲形という雲の分類名称でがあります。雲は10種別に分類でき、各分類ごとに変種、副変種という派生系があります。
この画像の雲は積乱雲ですが、積乱雲の形状の内、乳房雲とアーチ雲という、単体でもめずらしい状態になっています。
乳房雲は見たまま、おっぱいのように沢山の膨らみができる雲です。気象条件が重ならないとなかなか見ることができません。
これは強い下降気流が発生しており、大気が非常に不安定なことを表しています。この雲が出ると雹やあられなどが降ったり、竜巻が起きたりする可能性があります。
積乱雲は寒冷前線の前線上(ガストフロント)にできやすい雲です。この時大きく弧を描くようなに雲が見えることがあります。それがアーチ雲です。アーチ雲が出ているということは、まさにその場所が最前線だと言うことなのです。
アーチ雲の後ろ側は激しい雨が降るはずです。画像でもアーチ雲の後ろには真っ黒い雲のようなものが地面まで垂れているのが分かりますが、それが局地的な豪雨です。
もしこれらの雲を見たら、できるだけ早くその場所を離れたほうがいいでしょう。
空の真珠
「彩雲」という現象です。これは虹の原理に似ています。雲に含まれる水滴や氷晶で太陽光が回折して、まるでプリズムのように光が分解されます。その時このような美しい七色の真珠のような雲に現れます。
現象自体は年に何回か見ることが出来ますが、やはり珍しい気象現象と言えます。
昔から彩雲は「瑞祥(ずいしょう)」つまり「良いことの起きる予兆」とされ、喜ばれてきました。
見ること自体ラッキーですが、見たらなおさらラッキーになれるかもしれません。
空の斬り裂きジャック
雲が一文字に切り裂かれている不思議な現象です。これは消滅飛行機雲という現象です。
普通、飛行機雲は飛行機のエンジンからでる水蒸気などが、同じくエンジンから出るチリなどを核として雲になる現象です。飛行機雲は青空にできますよね。
しかし、飛行機がやむを得ず雲の中を飛ぶ時、エンジンからでる高温の気流などで、周囲の水滴や氷晶を蒸発させて雲を消してしまう場合があります。
そのため飛行機の航跡にぽっかりと雲が無い状態が生まれます。これが地上から見ると雲を斬り裂いているように見えます。
薄い雲の中を飛行機が飛ぶと起きやすい現象ではありますが、持続しない現象(しばらくすると雲が復活する)なので、はっきりと消滅飛行機雲を見ることはめずらしいかもしれません。
空のシマウマ
見事なまでのシマシマ具合。こんなに整然とシマシマになった雲をみたことがありますか?
この雲は巻雲という種類の雲です。巻雲はとても高い位置にできる雲で、上空の強い気流に影響を受けます。そのため、条件が重なると気流の流れに完全に雲が沿った状態になることがあります。その時面白いくらい規則正しいシマシマできてしまうのです。
このシマシマ雲の事を別名「トランスバースライン」と呼びます。
この画像は海外で撮影されたものですが、日本でもこのようなトランスバースラインを見る機会は年に数回あります。
空の穴
雲がポッカリと型抜かれているようになっていますね。これは「ホールパンチ」と呼ばれる現象です。巻積雲や高積雲で見られます。
何らかの原因で、雲の成分である水滴や氷晶が冷やされすぎると、連鎖的に周囲の氷晶が急激に成長して重たくなることがあります。
それが拡大するとその部位は他の部分より重たくなってしまうので、一部分だけズルっと高度をさげてしまうのです。
これが地上から見ると、穴が開いた様に見えるので、穴あき雲とも言われます。
この雲もあまり見かける機会はないと思います。
空の不安定野郎
この雲はケルビン・ヘルムホルツ不安定性という現象によって現れる波雲です。
空にはいろんな条件の空気の塊が存在し、お互いにぶつかり合ったりしています。温度の条件などで密度が異なる空気の塊が水平に、異なるスピードですり合うときに境目に渦が沢山出来ます。
この現象は流体力学に功績のあるケルビンさんと、ヘルムホルツさんの名前を取って、ケルビン・ヘルムホルツ不安定性と呼ばれることになりました。
この現象のわかりやすい動画がありましたのでご覧ください。これが空で起きているのです。
空ではたまたまそのケルビン・ヘルムホルツ不安定性が発生しているところに雲があることで、その渦が雲の動きとなって見ることができる状態です。
いろいろな条件が重ならないと、ここまではっきりとしたケルビン・ヘルムホルツ不安定性の雲を見ることは出来ません。
この雲を見たら絶対に画像を撮っておきましょう。