ハドソン川の奇跡とは
クリント・イーストウッド監督、主演トム・ハンクスハによる実際にあった出来事を題材にしたハドソンの奇跡が2016年9月24日に公開されます。
この映画で題材になったのは、2001年1月15日に起こったニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ1549便が不時着水した「USエアウェイズ1549便不時着水事故」です。
事故の経緯
バードストライク(鳥が機体に当たること)が起きてしまったことがこの事故の原因でした。
2つあるエンジン両方に群れで飛んでいた渡り鳥であるカナダガンが数羽入ってしまって、それによりエンジンに致命的な破損が発生、エンジン再起動が不可能になり十分な推力を得られなくなってしまいました。
管制官からは空港引き返しも提案されましたが、高度がかなり低くなってしまったために引き返しているうちに墜落してしまう恐れを感じたチェズレイ・サレンバーガ機長はハドソン川緊急着水を決断することになります。
チェズレイ・サレンバーガ機長
事故の様子を時系列で追ってみる
この事故の過程は以下のシュミレーション動画で詳しく確認することができます。(動画は英語ですが図を見るだけでも理解できるかと思います)
離陸からわずかに5分程度の間の出来事です。
15:25ころ空港を飛び立つUSエアウェイズ1549便
飛び立ってからおよそ2分後15:27ころにバードストライクが起きる
バードストライク直後エンジンを立てなおそうとするパイロットたち、ハドソン川に平行になるよう向きを変えていく
バードストライクからおよそ2分後の15:29ころ、機長から「衝撃にそなえてください」というアナウンスがされる。
15:30ころハドソン川に緊急着水
迅速な救助
機体は不時着から1時間後に沈んでしまいました。
実際に川岸の監視カメラによって撮影された救助の状況の動画です。フェリーがまっさきに救助に向かっていることがわかります。
着水後直ぐに浸水が始まっていたそうです。映像からもすでに機体の後ろが沈み始めていることはわかります。
その為、一部の乗客はずぶ濡れになってしまいました。季節は冬で水温は5°程度ととても冷たく、もし長時間冷水に晒されてしまうことがあれば低体温症などで命を失う人もでたかもしれません。
しかし事故を知った近くを航行していたフェリーなどがすぐさま救助に向かい、沈みゆく機体から乗客乗員全員を救出することが出来ました。もちろん連絡を受けていたレスキューなども迅速に現場へ急行しています。
まとめ
こうしてエンジン破損という大事故にもかかわらず、乗員乗客全員が生還しました。
全員が生還したこの事故のことをニューヨーク州知事のデビッドパターソンが「ハドソン川の奇跡」(Miracle on the Hudson) と称賛したそうです。
この言葉が映画の主題にもなっているのですね。
映画では事故後の事故調査委員会による事故原因の追求が主な題材になっています。映画のキャッチコピーにも「その日英雄は容疑者になった」とあります。
英雄的行動を行った機長らがどうなってしまうのか…。映画を見てのお楽しみのようですね。