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CD-Rは有機色素を焼いてデータを記録している

  • 2016/08/26 11:34:04
目次
  • 1:CD-Rの構造
  • 2:CD-Rにはどうやってデータが記録されているか
  • 3:CD-Rのピットとランド
  • 4:有機色素について
  • 5:CD-Rは光や熱に弱い、さらに傷にも弱い
  • 6:まとめ

DVD-RやBDなどGBオーダーの記録ができるメディアのありますが、小さいデータや音楽データを焼くのに未だに便利なCD-R。

今回はそんなまだまだ使えるCD−Rの仕組みを説明したいと思います。

先ずはCD-ROMの仕組みについて知っておくと理解しやすいかと思いまうので拙著の記事を参照してみてください。

CD-Rは一度だけデータを書き込むことのできるディスクです。GBオーダーのデータの書き込みが増えた現在でも、比較的小さいデータなら手軽に安価に書き込むことができるので、愛用している人も多いメディアです。

CD-Rの構造

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CD-Rは読み取り面から見て

  • 基盤 ポリカーボネート等
  • 記録層 有機色素
  • 反射層 主に銀
  • レーベル面

の4層でできています。中にはレーベル面に保護層を付加している商品もあります。大きさは12cmか8cmで厚さは1.2mmです。

データは有機色素の層に記録されることになります。

CD-Rにはどうやってデータが記録されているか

CD-ROMのデータ記録の仕組みは以下の記事で説明させてもらいました。

CD-ROMは凸凹でデータを記録している

CD-ROMには記録層(アルミニウム層)に小さな凹み(読み取り面からみると凸)の列が刻まれています。この列をトラックと言います。

そして凹みをピットと呼びます。また凹んでいない部分をランドと呼びます。トラックは内側から外側に向かって渦巻状の一本の列となっています。CD-ROMではトラックの渦巻きの間隔が1.6μmになっています。

CD-RもCD-ROMで言うところのトラックと同等の仕組みがあります。

CD-ROMははじめからデータが記録されているメディアですので、データの記録ライン=トラックを追っていけばデータを読み出すことが出来ます。つまりトラックがそのまま位置情報になるわけです。

しかし未書き込みのCD-Rはデータが記録されていないまっさらな状態ですので、トラックが存在しません。

そのため書き込みするためにはトラックに相当する位置情報が必要になります。

そこでCD-RにはCD-ROMには無い、グルーブという微妙にうねった溝が基盤に対して全周に最初から付けられています。

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このグルーブは位置情報をFM変調した波となっていて、この溝に沿うことで現在位置がわかるようになっており、まっさらな状態でも位置を見失うことなく初回の書き込みが可能になっています。

CD-Rのピットとランド

CD-ROMではデータはピットという凹みとランドという平な部分で表現されています。これは最初から物理的に基盤に刻み込まれているものです。

しかしCD-Rの場合は物理的な凹みを付ける仕組みではなく、有機色素を書き込み用レーザーの熱で焼いて、反射層に読み取りレーザーが届きやすくする方法が使われています。

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書き込み用レーザーで焼かれた部分がCD-ROMで言うところの凹み、つまりピットになります。

レーザーは書き込みと読み込み共に波長780nmの赤外線レーザーですが、書き込み時は強い照射をすることで熱を発生するようになっています。

有機色素について

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太陽誘電が開発したCD-Rの第一号ではシアニン色素が使われていました。シアニン色素が使われているCD-Rは、普通のCD-ROMに比べて、読み取り面が薄い青色(水色っぽい)になります。比較的、耐光性・耐熱性に優れており現在でも使われている色素です。

シアニン色素は技術的にあまり薄くすると品質が落ちる色素だったため、コストを下げるため薄くした商品で書き込み不良がよく起こるなどのトラブルが起こることがありました。

三井化学が開発したフタロシアニン色素はシアニンに比べて薄くすることが可能で、かつ化学的特性も安定していたため、CD-Rの低価格化に寄与することになりました。

フタロシアニン色素をつかったCDーRは読み取り面の色が普通のCD-ROMとあまり変わりません。

三菱科学が開発したアゾ色素はもっとも化学的特性が安定していると言われています。価格は比較的他の色素採用のCD-Rよりも高い傾向がありますが、耐光性・耐熱性に優れており、人気が高いとされています。

アゾ色素をつかったCDーRは読み取り面の色が他の色素よりも青くなる傾向があり、採用されている商品を見ると一目でそれとわかるかと思います。

CD-Rは光や熱に弱い、さらに傷にも弱い

有機色素をレーザーの熱で焼いて記録するという方式のため、CD-Rは光と熱にめっぽう弱いメディアです。

暗く涼しいところで保存すると試算では50年ほどデータを記録することが可能らしいですが、真夏の車のダッシュボードなどに放置しておくと、色素が化学的変化を起こし、数時間で読み込み不能になる可能性があります。

またCD-ROMと違って、レーベル面側に保護層が無い商品が多く、ちょっとの接触でも記録層に貫通する傷がつきやすく読み取り不能、書き込み不能になる可能性があります。

ですのでCD-Rの扱いは他のメディアより慎重に行う必要があります。

まとめ

それにしてもあんなに小さな位置に、ちゃんとレーザーを当てて色素を焼くことができるのって、改めてすごいことですよね。

この色素を使った仕組みは、方式は違いますがDVD-RやBDなどにも応用されています。