喜劇王バスター・キートン
1920年代に大活躍した喜劇俳優バスター・キートン。チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドとならんで世界の3大喜劇俳優と称されています。
彼の特徴は「身体を張った笑い」です。
ちょっとやそっとの身体の張り方じゃありません。一歩間違うと死んでしまうようなことを平然とやってのけます。
彼は「無表情」が売りで、感情の起伏があんまりない状態で展開される曲芸のようなギャグがとても好評を博したのでした。
その1・家が崩れてきて危機一髪
バスター・キートンの有名なギャグといえばこれ。とても有名なので映像を見たことがある人もいるかもしれません。
1928年「キートンの蒸気船」からのヒトコマ。
家の壁が崩れて潰されるかと思ったら…ちょうど窓のところに居たので潰されずに済んだというギャグです。
ちゃんと計算して撮影しているのでしょうが、これはかなり怖いですね。
その2・蒸気機関車の行く手を阻む枕木
ああっ!蒸気機関車の行く手に枕木が!!このままでは脱線してしまう!!
1926年「キートンの大列車強盗」もしくは「キートンの大列車追跡」のヒトコマ。
これを機関士ジョニー・グレイに扮するバスター・キートンは、抱えた枕木を投げつけて、跳ね飛ばします。
これも相当計算しないと出来ない芸当ですよね。跳ね上がった枕木が危うく顔面を直撃しそうなギリギリのタイミングなのがすごいです。
その3・板を渡して…って届くかいっ!!
まるでジャッキーチェンの「プロジェクトA」の時計台飛び降りスタントを彷彿とさせるようなシーンです。
これは1923年「滑稽恋愛三代記」からのヒトコマ。
カットを分けて撮っているので、おそらく板を渡して飛び移るシーンでは下にネットなどがあるのだとおもいます。
しかし、建物にそって落ちていくシーンは2階分は明らかに落ちていますので、やっぱりかなり身体を張ったギャグですね。
その4・遮断機からこんにちは
建物の屋根まで届く長い遮断機に掴まって、車へとエントリー。
スマートというか、ここまでするりとやられると面白いというよりカッコイイですよね。
1924年「キートンの探偵学入門」からのヒトコマです。
あまりにもスマートにこなしているので、危険に見えませんが、かなりの高さがある上に車とのタイミングを合わせるのも至難の業です。
よく見ると車は少しスピードを落としますが、停止してはいません。すごいですね。
その5・車が通ったらさようなら
1922年「キートンの警官騒動」から2つのシーンです。
1つはバスター・キートンというより警官役の俳優のギャグです。
キートンは見事に警官の間をくぐり抜けて警棒をやり過ごします。
そのあとキートンは警官集団に追いかけられますが、車に掴まって逃げ切ります。
一瞬の出来事ですが、走っている車に掴まって振り落とされずに掴まり続けるのは相当な腕力がなければできません。
おそらくヘタをすれば肩を脱臼するなど、重症を負うでしょう。
その6・カメラアングルがな…っておい!!
1928年「キートンのカメラマン」からのヒトコマ
倒れていく台座にカメラを構えたまま乗っているキートン。
台座はそのまま崩れてしまいます。1カットで撮っているので崩れるときの衝撃はそのまま受けているはずです。
クッションなどは見当たらず、キートンはしたたかに木材に身体を打ち付けている様にも見えますが、これは衝突寸前で寝転ぶことで受け身をとっているいるのでしょう。
高所恐怖症の私にはこんなの怖くてできませんよ。
最後に
いかがでしたでしょうか?バスター・キートンの身体を張ったギャグは思ったよりすごいですよね。できればジャッキーチェンと共演してほしかったなと思います。