2013年1月22日福岡で自動販売機でジュースを買おうとした男性が蜘蛛に咬まれ、頭痛、吐き気により病院に搬送されたというニュースがありました。男性の証言から咬んだのはセアカコケグモではないかとみられています。
近年セアカコケグモに噛まれて中毒を起こす事件が多く起こっています。
セアカコケグモとは
セアカコケグモはもともとオーストラリア原産の蜘蛛で日本にはいない種でした。しかし1995年に大阪府で発見されて以来、東北以南のほぼ全国で目撃されています。
体長はオス3mm程度、メスが14mm程度。で小さい蜘蛛です。体色はほぼ黒色。
メスの背中には砂時計のような形の赤っぽい模様ががあります(オスにはありません。)持っている毒は神経毒α-ラトロトキシンでメスのみ毒をもっています。
α-ラトロトキシンの毒性
α-ラトロトキシンは神経と筋肉の接合部の神経側に作用して、カルシウムイオンを流入させます。このことで神経伝達物質であるアセチルコリンが急激に放出されてしまいます。
アセチルコリンは主に骨格筋や心筋や内臓の筋肉を収縮させるために働きます。そのため筋肉の痙攣や、虚脱状態などを引き起こします。
また副交感神経にも作用するので、脈拍や唾液の分泌などにも影響があります。
具体的な症状としては主に体の強い痛みがあります。噛まれた部分周囲に限定される場合もありますが、全身に及ぶ場合もあります。
その他、嘔吐、嘔気、嘔吐、発熱、めまい、頭痛、高血圧、下痢、呼吸困難、排尿困難、徐脈(脈がゆっくりになる)、頻脈(脈が早くなる)、括約筋のけいれんなどがあります。
セアカコケグモの生息場所
生息場所で多いのは次の通りです
- 排水溝のふたの裏
- ブロックのすきま、公園の花壇など
- 芝生などの水抜き管、露出したパイプの内部
- お墓の石の隙間
- 自動販売機の裏、クーラー室外機の裏、人工的な熱源の周り
外的から身を守れる比較的暖かい場所を好みます。
咬まれると
- チクッと針で刺したような痛み
- 咬まれた部分が腫れて赤くなる。痛みが全身へひろがる。
- 悪化すると、多汗、さむけ、はき気、悪心などが表れることも。
神経毒特有の症状が全身に広がります。
咬まれたときの対処
- クモに咬まれたら、毒を温水や石けん水で洗いおとします。
- 病院に行って治療を受けることが大切。出来る限り咬まれた蜘蛛も捕獲(殺してもかまわない)して持参すると、毒を特定できるなど、適切な治療になります。
咬まれても大体のケースでは数日で回復するとのことで、日本では死亡例はまだありませんが、オーストラリアでは死亡例があります。
小さい子や老人は体が毒に対抗できない場合もありますので、死亡に至る可能性もありますので注意が必要です。