「尸位素餐(しいそさん)」は「地位にありながら職責を全うせず、報酬を無駄にもらっている事やそういう人」を意味します。
出典は「漢書」。中国後漢の章帝の時に班固、班昭らによって編纂された前漢のことを記した歴史書です。(後漢書に対して前漢書と言われることもあります)。この書物の朱雲伝という章の一節に
「今の朝廷の大臣、上は主を匡ただすこと能あたわず、下は以て民を益する亡く、皆尸位素餐なり」
(今の大臣は主君の行いを正す為の努力もせず、民を豊かにする努力をするわけでもなく、ただ禄を食んでる)
とあります。
ただこの書物上では既に「尸位素餐」と成句になっていることもあり、初出とは言いがたい面もあります。
もともとの出典は「論衡(ろんこう)」ではないかと思われます。
尸位は人間がよりしろになって、神様の祭られている所に就くこと(神主のような意味)で、そうした人はその場から移動することはなくなるので、転じて「動かない」という意味になっています。
素餐はむさぼり食べることを意味し、「尸位素餐(しいそさん)」は「地位にありながら職責を全うせず、報酬を無駄にもらっている事やそういう人」を意味するようになっています。