海外の方がpine pitchの作り方動画をアップしていました。
アウトドアでとても使えるクラフトなのでぜひ見てください。
pine pitchとは
pine pitchとは直訳すると松脂のことですが、今回の動画では「松脂万能接着剤」を意味します。接着剤以外にも使い道が結構あります。
このpine pitchの使い道としては
- 強力な接着剤
- 焚き付け
- 松明(たいまつ)
- 切り傷の出血止(絆創膏代わり)
- 手作りの石器の材料
- 矢の矢尻と矢を固定
- 矢尻を作る
- 釣り針を作る(プラスチック並に固まるため)
- やすの先端を作る(銛のような魚などを突いて捕る道具)
などなど多岐に渡ります。万能材料と言うわけなのですね。
おそらく動画では「Pinus rigida(リギダマツ)」を使っているかと思います。この松はアメリカ西部に植生している種類の松ですが、松脂自体は日本に植生している松からも分泌されますので、実践することは可能かと思います。
松脂を集める
まず松脂の採取をします。
松脂は松が損傷していたり、枝が折れていたりする所から分泌されています。
採取する松脂はできるだけ、分泌してから時間が経ち乾燥しているものを選びます。乾燥した松脂は黄色かオレンジ色か白っぽく蝋のような状態なります。
あまりにも透明だったり、粘度が低い松脂はまだ分泌されて間もない可能性があります。水分を多く含んでいるとあまり品質の良いpine pitchができないそうですので、松脂採取は気合を入れて行いましょう。
手で直接触ると取れにくいので、枝などをナイフで加工してヘラを作って使うと良いかと思います。
火を起こす
木を集めて火を起こします。これは松脂を溶かすための熱源の意味と、木炭を作るための意味があります。動画では錐揉みで火を起こしていますが、火を起こせるならどんな方法でもかまいません。
木炭となる木ですが、種類は特に問わないようです。同じく松でもいいかもしれません。
木炭の粉を作る
火が落ち着いたら、燃えさしの木炭を取り出し、石の上で砕き粉状にします。なるべく細かくすりつぶしてください。この粉状の木炭が松脂の「繋ぎ」の働きをして、強い硬化力を生み出します。
松脂と木炭を練り合わせる
粉状の木炭が出来上がったら先ほど採取した松脂と練り合わせます。きちんと全体に混ざるように丹念に混ぜてください。
松脂と木炭の配分ですが、松脂3に対して木炭1くらいが良いのではないかと言われています。ただ松脂の質などで出来上がりが変わってくるそうなので、経験を積んで調整するのが良いようです。
練り合わせたものを溶かす
今度はこの練り合わせた松脂を熱で溶かします。入れ物にいれて火床に置き溶けるのを待ちます。動画では入れ物を近くで取れた粘土で作っているそうですが、空き缶などを加工した物でも問題ありません。燃えない素材であればOKです。
熱している間は適宜かき混ぜてください。
棒に巻きつける
完全に溶けてドロドロの状態になったら、すこし冷まします。あまり熱いとこの後の加工ができません。
まだ粘度があるくらいに冷めたら、棒に巻きつけていきます。動画では少し巻きつけ、水で冷やして硬化させて…を繰り返しています。
完成
これでpine pitchが出来上がりました。冷えるとカチンコチンになります。動画でも指で弾いていますが「カチン」という音がなっていますね。まるでプラスチックのようだという人も居るそうです。
このままの状態で火をつけると松明になりますし、熱して一度柔らかくすると、接着剤や硬化剤としての役目を果たします。
もし松明に使う目的だけなら、草食動物の糞を混ぜると良いそうです。
まとめ
松はとてもいい木で、今回のように松脂が多目的で使えますし、松葉は殺菌力があります。栄養豊富な松の実は食料となり、松ぼっくりは燃料にもなります。非常時には松自体(松の内皮)も食べることも可能ではあります。
遭難時に松がどのように使えるのかを知っているとかなり役に立つのではないでしょうか?
ぜひ実践してみてください。