夏の暑い盛に道路に水を撒く「打ち水」を見たことがあるかと思います。
打ち水の効用は道路のホコリを抑えたりするだけでなく、水を撒いた周囲の温度を下げる役目があります。
この温度が下がる効果を気化熱を奪うという説明を聞いたことがあるかもしれませんが、いまいちピンとこないかもしれません。
今回は打ち水の仕組みについて少し詳しく説明したいと思います。
水が気体になる時に
水が液体から気体になるには、エネルギーが必要です。すこし語弊があるかもしれませんが、より「自由に動けるパワー」が無いと気体にはなれません。
順序を戻して考えてみると、水の個体は氷です。個体は当たり前ですが勝手に形が変わったりしませんよね。それは「自由に動けるパワー」が低い状態なのです。
氷とくらべて液体の水はどうでしょうか?より自由に動けるイメージがないでしょうか?現に水はさまざまな形に変わることが出来ます。それだけ氷よりも自由に動けるパワーを持っているということなのです。
そして水が気体に成った場合、水蒸気ですが、液体よりもさらに「自由に動くパワー」を持っています。空中に自由に拡散できてしまいますよね。
このように水は個体・液体・気体で持っているパワーが違います。すこし言い換えると持っているパワーが違うので個体・液体・気体に変化するとも言えます。
パワーはどこからくるの?
さて、このパワーはどこからくるのでしょうか?実はパワーは周りからもらえるものです。いろいろなパワーのもらい方があるのですが、その1つに熱をパワーとしてもらうもらい方があります。
しかしもうすこし詳しく説明すると、水が「水が多く水蒸気になるのは蒸気圧が強くなる場合」ということが言えます。
蒸気圧とは水が気体になろうとする圧力です。すこし簡単に言えば、「水が気体となって飛び出したい力」です。これは先ほど説明した「自由に動くパワー」とほぼ同じことです。
水は温度があがると「蒸気圧=水が気体となって飛び出したい力」がより強くなり、水はさらに水蒸気となっていきます。
この時水が高温になるためには、どこから熱をもらっているでしょうか?
普通お湯を沸かすのはコンロを使ったり、電気ケトルをつかったりしますが、火であれ電気であれ、熱をまわりからもらっていることになります。
つまり水が気体になる場合は周りから熱をもらっている、言い換えれば奪っているともいえるのです。
常温でも水蒸気になれる
ここで1つ注意点なのですが、水は100℃になると一気に水蒸気になるということではありません。
実は室温くらい(20℃〜25℃)でも「水が気体となって飛び出したい力」すなわち蒸気圧は0ではないのです。ですので常温でもちょっとだけ水蒸気になれるのです。
コップに入れておいた水がいつの間にか少し減るのも、洗濯物が乾くのも常温でちょっとだけ蒸気圧があるからなんです。
そして室温より温度が高ければ、蒸気圧はより強まります。感覚的にも暑い時のほうがコップの水の減りは早いし、洗濯物もよく乾きますよね。
もちろん常温でも水が水蒸気になるときには、周りから熱をもらっています。(この場合は空気などの熱を奪っていことになります)
打ち水が温度を下げる仕組み
さて夏のアスファルトを考えてみてください。下手をすると50〜60℃くらいになります。触るとやけどしそうな熱さになります。
ここに打ち水、すなわち水を撒くとどうでしょうか?
水はアスファルトの熱で熱されます。
コンロや電気ケトルの時と同じです。違うのはアスファルトの熱は太陽の光が元になっているということだけ。
水はアスファルトから熱を貰う(奪う)ことで沸騰時ほどではないものの、「水が気体となって飛び出したい力」が強まります。
こうして沢山の水が水蒸気となっていくのです。
たくさんの水が水蒸気になるということはそれだけ、周辺の熱が水に貰われた(奪われた)ということですので、打ち水した周辺は結果的に温度が下がるのです。
これが打ち水が温度を下げる仕組みなのです。
まとめ
夏の打ち水は風物詩で、目にも肌にも涼しげですよね。打ち水をすることでエアコンの使用率を下げることができるそうで、近年では打ち水の効用が見直されています。
エアコンのスイッチを入れる前に、家の庭などに打ち水をすることを考えても良いかもしれませんね。