「宋襄之仁(そうじょうのじん)」は「意味のない情けをかけた結果、自分が痛い目に遭うこと」を意味します。
出典は「春秋左氏伝」。孔子が書いたとされる「春秋」の注釈書(意味の解釈や注意点などをつけて読みやすくした書物の事)です。
作者は左丘明という人物だとされていますが、明らかになっていません。この書物の僖公二二年という章に以下のようなエピソードがあります。
宋が楚と戦っているとき、敵が敵前渡河を始めました。
河を渡りきらないうちに攻撃すれば、陣形も整っていないし、簡単に撃破できるという将軍の進言に、襄公は
「君子は人を苦しめるものではないのだよ。正面から正々堂々と戦うべきなんだ」
といって、敵の渡河が完了するまで待って、結局戦争に敗れてしまった。
襄公の言っている情けは別なタイミングであれば、君子としてすばらしいことだったかもしれません。
しかし戦争という何が何でも勝たなくてはいけないタイミングで発揮する情けではなかったので、ちょっと不名誉なこの故事が「意味のない情けをかけた結果、自分が痛い目に遭うこと」を意味するようになりました。