一般に体が冷えると風邪を引くと言われます。湯冷めをしたり、汗をかいてそのままにしたりすると風邪を引きやすいイメージがありますよね。
一説には都市伝説とも言われますが、どうやら「体が冷えると風邪を引く」理論は正しいようです。
アメリアのイェール大学の研究報告があります。
Temperature-dependent innate defense against the common cold virus limits viral replication at warm temperature in mouse airway cells
http://www.pnas.org/content/112/3/827.abstract
研究では体温の状態で風邪の引きやすさが変わってくることを示唆しています。
風邪のウイルスの繁殖
また風邪ウイルスであるライノウイルスは32〜33度くらいで繁殖しやすくなります。
外気に常に触れることになる口や喉、鼻の穴などは深部体温より低い温度になりやすい場所で、大体33度〜35度くらいになります。
つまり喉粘膜や鼻粘膜はライノウイルスが繁殖するのに都合の良い温度環境が整いやすい部位でもあるのです。
頼もしい免疫システム
また体にはウイルスに対抗する免疫システムがあります。
ウイルスは常に私達の体の周りに存在しています。そして常に色んな所から体の中に進入してきています。
でも必ずしもウイルスに感染しないのは免疫システムがウイルスを排除しているからなんですね。
もし免疫力に頼らない場合は無菌室のような場所で過ごさなくてはなりませんが、そのような場所で過ごさなくても普通に暮らせるのは、免疫システムは私達の体を常に守っています。
この免疫システムは体温と密接に関係しており、一般的には37度くらいの時にもっとも免疫力が上がるとされています。そのため体温が下がると免疫力が低下する可能性があります。
湯冷めする、汗が冷えるなどは体温を大きく下げる原因になります。知らず知らずのうちに免疫力が低下している可能性があるのです。
体が冷えると風邪が引きやすくなるのは本当
つまりウイルスが増殖しやすい温度環境と免疫力が低下した状態とが合わさると風邪を引きやすくなるようなのです。
もちろんそれらのバランスの他にも季節や温度・湿度、その時の体調などさまざまな条件が関係しているので、必ずしも体温のみの理由で風邪を引く訳ではありません。
しかし「体を冷やしてしまうのは免疫力低下につながる可能性があること」、「風邪ウイルスは普段の体温より少し低い温度環境で増殖しやすいこと」の2点は覚えておいてもいいかもしれません。
まとめ
都市伝説ともいわれる「体が冷えると風邪を引く」はおおよそ正しいということでした。
日本では民間療法でも風邪の治療法として、暖かくして寝るというものがありますが、これは体温を上げ免疫力を高める役割を果たしているのだと思います。
「暖かくする」というのは風邪の予防にも治療にもつながるようですね。