「唖然失笑(あぜんしっしょう)」は「あっけにとられておもわず笑ってしまうこと」を意味します。
出典は「呉越春秋」。中国の後漢時代の趙曄が、紀元前1200年頃から紀元前400年頃までの呉と越の出来事を集めた歴史書です。この書物の越王無余外伝に以下のような一節があります。
濟江 南省水理 黄龍負舟 舟中人怖駭 禹乃唖然而笑曰
(黄色い龍が船を背負って進んだので、船の中の人は恐れおののいたが、禹はあっけにとられて思わず笑った)
実在が確認されていない、中国の王朝「夏」の皇帝「禹」が黄河の治水事業にあたっていたときのエピソードとされています。
この一節の「禹乃唖然而笑曰」が「唖然失笑」となり「あっけにとられておもわず笑ってしまうこと」を意味するようになりました。