「悪事千里(あくじせんり)」は「悪いことはすぐに広く伝わってしまう」という意味です。
出典は「北夢瑣言(ほくむさげん)」。中国の宋代の政治家、孫光憲が唐末から五代にかけての著名人の逸話を集めた書物です。この書物に以下のようなエピソードがあります。
後晋の宰相の和凝(かぎょう)は、青年時代、若気の至りか好んで色っぽい小唄(エロい歌)を作っていました。その歌じは結構好評でみんな知っていました。しかし宰相になってから、昔の恥ずかしい創作は地位にふさわしい過去ではないということで、作品を焼き捨てたのですが、過去の評判は消えることなく、遠くの国まで名が知れ渡り、「エロ宰相」(艶歌宰相)と呼ばれました。
このエピソードのシメに「所謂 好事不出門、悪事行千里 士君子得不戒之乎」という言葉があります。
「良いことはなかなか伝わらないが、悪いことはすごい遠くまでつたわってしまうので、皆さん教訓としてくださいね」という意味です。
この文章の「好事不出門、悪事行千里」が「悪事千里」となり、「悪いことはすぐに広く伝わってしまう」という意味で使われるようになりました。
だから悪事を働いてはいけないよという教訓の意味でも使われることがあります。