空気中のチリが重要
雲をができるのにとても重要な要素として、空気中に舞っているチリの存在があります。
土や砂、噴火の灰、小さいチリ状の物質などが、雲ができる上空には浮かんでいます。このチリのことをエアロゾルと呼んだりします。
このエアロゾルを核として水蒸気が水滴になったり、氷晶になったりします。つまり雲の元になるわけです。
エアロゾルが少ない場合は雲ができにくくなります。
雲の材料は水蒸気
雲の元はほとんどが水です。水にはいろんな形態がありますが、雲の発生に関係するのが水蒸気です。
水蒸気は水の気体のことですね。通常、空気中にはいくらかの水蒸気が存在してます。
そして水蒸気が空気中に存在していられる量には温度が関係しています。
温度が高いと多くの水蒸気が空気中に存在でき、温度が低いとあまり多くは存在できません。
例えば夏によく冷えた麦茶を飲む時、コップに多くの水滴がつきますが、これはコップの周りの空気が麦茶で冷やされ、空気中の水蒸気が気体でいられなくなり、水となりコップに付着しているのです。
この時水滴になってしまう境目の温度を「露点温度(ろてんおんど)」と呼びます。
水蒸気が空気中に存在していられる量を越した状態を「過飽和(かほうわ)」と呼びます。湿度100%以上とするとイメージしやすいかもしれません。
水蒸気が増えて(湿度が上がって)過飽和になったり、空気が露点温度より冷えるたりすると、水蒸気は気体でいられなくなり、エアロゾルを核として水滴となります。空気がもっと冷やされ0度を下回ると、水滴は凍って氷晶となったりします。
こうして出来た水滴・氷晶をまとめて「雲核(ウンカク)」と呼びます。
この雲核が沢山集まったものが雲になります。
雲のできる条件
雲の材料が水蒸気だと説明しましたが、どんな条件で雲は発生するのでしょうか?
雲ができる条件としては多くの場合「上昇気流が発生する」することが挙げられます。
1.空気が暖められ上昇気流となる
太陽の熱や暖かい空気で暖められた空気が膨らんで上昇し、次第に冷やされることで雲が発生します。
簡単に説明すると空気が暖められ、上昇気流となる場合です。
空気は暖められると膨らみます。気体は膨らむと温度が下がる性質があり、次第に冷えてしまいます。
このとき過飽和となるか、露点温度までさがるかで雲ができる条件が整います。
2.空気が山を登る
空気が風などで山を登ぼり、高度が上がると温度がさがりますので、空気は冷やされることになります。
露点温度までさがると雲になる場合があります。
これは山の天気が変わりやすい理由の一つのです。
3.低気圧での上昇気流
低気圧は気圧が低く、風があつまることになります。風が吹き込むことで行き場を失った空気は上昇気流になります。
このとき空気が過飽和となるか、露点温度までさがるかで雲ができる条件が整います。
4.寒冷前線での上昇気流
寒冷前線は冷たい空気が暖かい空気に向かって移動する際にできる前線です。
暖かい空気に冷たい空気が潜り込む様になるため、空気の境目は急な斜面の様になります。この急な空気の斜面では強い空気の動き(対流)が起こるため、結果的に強い上昇気流が起こります。
寒冷前線で特徴的な雲は積乱雲です。短時間で強い雨を降らす雲ですよね。
5.温暖前線
温暖前線は暖かい空気がに冷たい空気向かって移動する際にできる前線です。
暖かい空気が冷たい空気に乗っかかる様になるため、空気の境目は緩やかな斜面の様になります。結果的に広範囲に緩やかな上昇気流が起こります。
温暖前線では広範囲に長く雨を降らす乱層雲ができやすくなります。
雲が浮いていられる理由
雲はなぜ浮いていられるのか不思議に思ったことはありませんか?
雲が浮いていられるのは上昇気流のおかげです。上昇気流と雲の重さのバランスが保たれていると雲は上空で浮いていられます。
しかしバランスを崩すと雲は落ちてきます。
雲が落ちてきたことなんて見たことがないですよね?
でもみなさん何回も見ているはずです。
じつは
雲が落ちる≒雨・雪が降る
ということなのです。
雲は重くなると雨や雪として落ちてきているのですね。
まとめ
- 雲ができるには空気中のチリ、エアロゾルが必要
- 雲の主原料は水で水蒸気が関わっている
- 雲の生成には過飽和と露点温度が深く関わっている
- 雲は主に上昇気流で発生する
- 雲は上昇気流と雲の重さのバランスで浮かんでいる
- 雲は重たくなると雨や雪として落ちてくる