日本は世界の中でも地震が多い国と言われています。中には世界一地震が多いという人もいますが、本当に日本は世界一地震が多い国なのでしょうか?
そこで今回は日本がどのくらい地震が多いのか、世界一なのかをしらべてみました。
世界報告書 災害リスクの軽減に向けて
http://www.undp.or.jp/publications/pdf/RDR_ES_J.pdf
上記のドキュメントには1980年〜2000年までに起きた地震でマグニチュード5.5以上の地震が年間何回起きたかの資料が添付されています。
その資料を元に統計を見やすい形でまとめてみました。今回は地震回数に焦点を絞ってまとめています。
国別地震回数ランキング
まずは単に国別で調べてみました。
マグニチュード5.5以上の地震が年間に起きた回数トップ10の国(1980年〜2000年の統計による)
順位 | 国 | 回数/年 | 面積 平方km | 面積順位 |
---|---|---|---|---|
1位 | 中国 | 2.1 | 9,596,961 | 4位 |
2位 | インドネシア | 1.62 | 1,904,569 | 14位 |
3位 | イラン | 1.43 | 1,648,195 | 17位 |
4位 | 日本 | 1.14 | 377,915 | 61位 |
5位 | アフガニスタン | 0.81 | 652,230 | 40位 |
6位 | トルコ | 0.76 | 783,562 | 36位 |
7位 | メキシコ | 0.76 | 1,964,375 | 13位 |
8位 | インド | 0.62 | 3,287,263 | 7位 |
9位 | パキスタン | 0.62 | 796,095 | 35位 |
10位 | ペルー | 0.62 | 1,285,216 | 19位 |
単に国別だけで見た場合、中国が一番地震が多い国になります。 しかし、国によって面積が全く違うので、面積の大きい国の方が地震が多いということになってしまいます。 面積順位も併記しましたが、やはり比較的面積の大きい国がランクインしているのがわかります。
このランキングでいうと、日本を除く国は面積ランキングで50位以上という結果でした。
地震回数ランキングの中では日本の次に小さいアフガニスタンでも65万平方kmと日本の2倍程度の面積です。
こうしてみると、面積が狭い日本に地震が集中しているのではないかと思われますよね。では面積比で見たら日本は地震回数が1位になるのでしょうか?
面積比率別地震回数ランキング
今度は面積比で地震回数ランキングをまとめてみます。
すると以下のような結果になりました。
日本の面積を基準にした場合のマグニチュード5.5以上の地震が年間に起きた回数トップ10の国(1980年〜2000年の統計による)
順位 | 国 | 回数/年 | 面積 平方km | 面積順位 | 地域 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | コスタリカ | 2.44 | 51,100 | 126位 | 中南米 |
2位 | キプロス | 2.04 | 9,251 | 164位 | 地中海 |
3位 | アルバニア | 1.84 | 28,748 | 141位 | 地中海 |
4位 | エルサルバドル | 1.8 | 21,041 | 149位 | 中南米 |
5位 | ギリシャ | 1.78 | 131,957 | 95位 | 地中海 |
6位 | ベルギー | 1.14 | 30,528 | 137位 | 西ヨーロッパ |
7位 | 日本 | 1.14 | 377,915 | 61位 | 東アジア |
8位 | グアテマラ | 0.83 | 108,889 | 105位 | 中南米 |
9位 | ジョージア | 0.76 | 69,700 | 119位 | 黒海沿岸 |
10位 | フィリピン | 0.72 | 299,404 | 72位 | 東南アジア |
今度は面積の比較的小さな国がランクインしています。先ほどのランキングと対照的にこのランキングでは日本の面積は1位になっていますね。
面積比で考えた場合でも日本が1位というわけではなく、6位か7位ということになります。(表では面積のより小さいベルギーを6位にしています)
このように日本は地震回数としては1位ではありませんが、国別でも面積比でもランキングに現れる地震多発国ということが言えます。
地震が起きる理由
面積比の地震回数ランキングをよくよく見てみると面白いことがわかってきます。
地震多発国は地中海、中南米に集中していますよね。
なぜ地中海と中南米の国がこれほど多くランキングに現れるのでしょうか?
これには地理的な条件があるのです。
地震の理由はさまざまありますが、大きな要因としてプレートの移動が挙げられます。
地球上の大陸は何枚かの板状のプレートに乗っていて、マントルの対流によって絶えず移動しているという説がプレートテクトニクス理論です。
プレートが動けば、お互いに離れていくプレート、ぶつかり合うプレート、こすれ合うプレートなどが出てきます。
プレートがぶつかり合ったり、こすれあったりするときに発生する力が溜まって、プレート境界の岩盤の耐久力を越すと、岩盤が一気に崩れたりします。
この崩壊の衝撃が地震の原因になると言われています。
つまりプレートのぶつかり合う場所にある国は地震が起きやすい可能性があります。
プレートの境目は海だろうが陸だろうが関係なくありますので、当然国を分断していたり、国がすっぽり境目に入っていたりもします。
そのことを踏まえて以下の図をご覧ください。以下は主なプレートの位置と動く方向を簡易に表したものです。
地中海の場合
先ず地中海を見てみましょう。
地中海の地震に関係していそうなプレートは以下のプレートになるかと思います。
- ユーラシアプレート
- アラビアプレート
- アフリカプレート
ギリシャの西側にぴょこんとアフリカプレートが飛び出しているようになっているのがおわかりでしょうか?
この位置はちょうどギリシャとアルバニアの西側に相当します。
またトルコの南側にもアフリカプレートがちょこんと飛び出しています。
この位置にちょうどキプロス島があります。
もちろんこの地域だけが地震が多いわけではなく、地中海のプレート境界面に位置する国では比較的地震が起きやすいと言えます。たとえばイタリアは火山が多く地震が多いことでも知られています。
中南米の場合
中南米のプレートはかなり複雑で以下のプレートがぶつかり合っています。
- ココスプレート
- ナスカプレート
- カリブプレート
- 南アメリカプレート
ちょうど北米大陸と南米大陸を結ぶ細い線のような地域にプレートがひしめき合っているのがわかりますよね。
コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラはこの位置にある国です。ランキングにはでてきませんでしたが、同じ地域に位置するホンジュラスやニカラグアも地震が多い国です。
地中海も中南米もプレートがせめぎあっている前線において地震が多いということがわかりました。
では日本はどうなんでしょうか?
日本の場合
日本もなかなかに複雑なプレート境界の上に国があります。
- 北アメリカプレート
- 太平洋プレート
- ユーラシアプレート
- フィリピン海プレート
中南米の状況と似ていますよね。プレート境界の密集地帯にちょうど国があるような状態です(プレート密集地帯だから火山活動が起こり日本が誕生したともいえますが)
日本やフィリピン、中南米などの太平洋沿岸の国々は環太平洋火山帯と呼ばれる火山の多い帯を形成しています。火山活動が活発な場所は地震も多発します。以下の画像は火山の多い地帯をまとめたものですが、太平洋沿岸にぐるっと輪を描くように火山が集まっていますよね。
このように日本は環太平洋火山帯に入っている国ですので、地震が多いとも言えます。
まとめ
今回は地震回数の資料からランキングと地震が多い理由をまとめてみました。
ランキングとしては1位ではありませんでしたが、やはり日本は世界的にみても地震が多い国だと言えます。
日本周辺の様にプレートが3つ4つせめぎあう地域は限られていますので、世界的にみても大きな地震が起きうる場所といえるでしょう。
今回の統計ではマグニチュード5.5以上の地震でしたが、有感地震すべてを考慮に入れるともっと違うランキングになったかもしれません。
もし良い資料が見つかりましたら再度まとめてみたいと思います。