大統領と首相の違いとは?

目次
  • 1:首相がいて大統領がいない…
  • 2:大統領がいない国の事情
  • 3:日本の場合
  • 4:各国の状況
  • 4.1:首相だけがいる国
  • 4.2:大統領だけがいる国
  • 4.3:大統領も首相もいる国
  • 4.4:まとめ

首相がいて大統領がいない…

日本には首相がいますが大統領はいません。アメリカには大統領がいますが首相はいません。

ロシアやドイツには首相も大統領もいます。

大統領は一般的に国家元首のことを指します。つまり国の長です。国の中で最も権限がある役職と言えます。

一方首相は一般的に行政府の長のことを指します。行政とは国のいろいろな活動のことですが、この活動を管理する長と言えます。

大統領を置くかどうかはその国の成り立ちや歴史が深く関係しています。

それには大統領がいない国の事情を説明するのが良いかもしれません。

大統領がいない国の事情

日本も昭和の時代までそうであったように、帝国や王国の多くは君主が直接権限を持って国を運営していました。

しかし多くの場合こういった個人の裁量に任せた政治形態では、権力の集中が過度に起きたり、無能な君主の場合国が傾いたりします。
また民衆の声が政治に反映されることは稀です。

そのため多くの国では革命や戦争が起きたりして、君主が実権を失ったりする経緯があります。

日本でも第二次世界大戦の敗戦で天皇は実権を失っています。

そういった経緯で現在では世襲制の君主がいる国の多くは、立憲君主制に移行しています。

過去の経緯から権限の大きな役職をなるべく置かないという思想が働いているのです。

立憲君主制は「君主の権力が憲法により規制されている君主制」のことですが、立憲君主制のもとでは君主は勝手に活動できません。議会の承認や行政の承認が必要になります。

そのため立憲君主制では実質的に君主は実権を持たなくなります。一般的には議会や行政が国の運営の責任を負うことになります。

そして議会や行政に携わる人員の多くは国民投票によって選ばれますので、民主的な代表によって政治が運営されることになります。

通常、行政府の長は首相ですから、立憲君主制の国の多くは大統領を置かず「君主(象徴的な場合が多い)・首相」といった関係性になる場合が多いのです。

このように世襲による国家元首がいる(現在の地位が象徴でも)場合、大統領が置かれない場合が多いです。

日本の場合

国会議事堂

日本では古来から天皇が国家元首でした。一時的には武家に事実上の権力を握られていた時期もありますが、大政奉還により明治からは実態・実権のある国家元首となりました。

天皇は選挙で選ばれたりしたわけではなく、権力の趨勢で地位を得た君主です。そして天皇は血統を重要とする世襲ですので、世襲君主となります。

日本の場合、革命ではなく敗戦のために天皇は象徴となりました。

日本はすこし複雑な事情で憲法に国家元首の定めがありません。ですから本来、国家元首がいないことになります。

しかし歴史的な経緯から考えれば天皇が権限のない国家元首としても問題がないと思います。

行政的な元首は首相で行政運用的に問題ありませんし、立法府も議会が機能しています。

天皇という国家元首的な存在がいるので大統領を置かないともいえるかもしれません。

各国の状況

国旗

首相だけがいる国

他の国では一般的に君主のことを王と呼びますが、王も天皇と同じように選挙で選ばれたわけではなく権力の趨勢での地位です。また王も一般的には世襲です。

ヨーロッパではイギリス・スペイン・デンマーク・オランダ・スウェーデン・ベルギーなどは歴史的に王が国を収めていた経緯があり、現在でも王国です。

アジアでもタイ・カンボジア・ブータン・マレーシア等の国が王国であり国王が君主です。

国王のいるほとんどの国が立憲君主制に移行しているので、多くの国で国王は象徴的存在か、ほとんど権限を持たない存在であることが多いです。

大統領だけがいる国

大統領だけがいる国としてはアメリカが有名ですね。

アメリカはイギリスからの独立国で歴史的に君主が存在しません。そのためアメリカでは国家元首つまり大統領を国民投票で選んでいます。

アメリカで首相を置かないのは大統領が行政の長として機能するためです。日本だと首相も議会の議員であり、立法府である国会にも参加しますが、アメリカでは大統領が議会に参加することはありません。

行政としての大統領と立法としての議会との対決という構図がアメリカの政治的駆け引きの様相となります。

大統領も首相もいる国

フランス・ドイツ・ロシア・イタリアではもともと君主が存在しましたが、それぞれ革命等で国の形態が変化しており、歴史的経緯ではなく、革命等の後に定められた憲法などを元に国家元首を据えています。

フランスでは大統領と首相のどちらもが存在し、どちらも実質的な権限を有しています。ロシアも大統領と首相が存在します。

ドイツとイタリアにも大統領と首相が存在しますが、この2国の大統領はほとんど実権の無い象徴的な存在で実施的な権限を持ちません。ドイツも第二次世界大戦での権力集中の悲劇という経緯があるため、大統領にほとんど権限を与えない道を選びました。

まとめ

政治形態はその国の歴史や内情を反映しており、興味深いものです。さまざまな政治形態があり、さまざまな権限があります。

大統領と首相の違いが理解できると、ニュースなども理解しやすくなるかもしれませんね。